ジャニーズ曲をたくさん作詞しているma-sayaさんのこと
はじめに
突然ですが、作詞家のma-sayaさんってご存知ですか? 担当しているグループによって知名度が分かれるかもしれませんが、ジャニーズ曲の作詞をたくさんしている方です(特にHey! Say! JUMP、KAT-TUN、嵐、近年はジャニーズJr.→SixTONESとかが多い)。
ma-sayaさんと彼の曲について、もしよかったら、知ってもらえたら嬉しいなと思ってブログを書いてみました。直接アイドルのことを書いているわけではありませんが、下のほうで歌詞分析的なこともしているので、歌詞の意味を考えるのが好きだったり、曲の背景を知りたいという方には面白いのではないかと思います。いろいろなグループの曲をあげているので、担当でないグループの曲を知るきっかけになったらとても嬉しいです! 長い記事ですがぜひぜひ!
えーと、始めに確認しておきたいことなのですが、このブログを書くのは悩みました。プロの作詞家としては、その人がどんな人かではなく、作った詩自体で評価するべきだし、ご本人もそちらを望んでいるだろうと。
けれども、自分自身について言えば、ma-sayaさんのことを知ってもともと好きだった曲がより好きになったので、評価が覆ったわけではないんですね。そして、ある人の言葉はその人がどんな人かとは切り離せないものだと思います。ある言葉が出てきた背景を含めて把握したほうがより深く理解できるというのはよくあることです。そんな情報として受け取っていただければ幸いです。
前置き長くなりましたが入ります!
ma-sayaさんの曲まとめ
ジャニーズの曲をたくさん作詞しているといっても、作詞家のことまで意識していないよという方も多いと思うので、ma-sayaさんの曲をまとめてみました! たくさんありますよね? これでも抜けている曲があります*1。
<デビュー組>
- Too Shy ・・・デビューシングル『Ultra Music Power』(2007)カップリング
- Your Seed (2008) ・・・3作目シングル
- 真夜中のシャドーボーイ(2008) ・・・4作目シングル
- 情熱JUMP ・・・アルバム『JUMP NO.1』(2010)
- Memories ・・・アルバム『JUMP NO.1』(2010)
- スノウソング ・・・『「ありがとう」~世界のどこにいても~』(2010)カップリング
- Go To The Future! ・・・『Ride With Me』(2010)カップリング
- Farewell ・・・アルバム『JUMPing CAR』(2015)
- RUN DE BOO ・・・アルバム『DEAR.』(2016)
- RUSH OF LIGHT ・・・デビューアルバム『Best of KAT-TUN』(2006)
- SIGNAL(2006) ・・・2作目シングル
- Way of Love ・・・『僕らの街で』(2006)カップリング
- Splash... ・・・アルバム『cartoon KAT-TUN II You』(2007)
- New Genesis ・・・Komei Kobayashi・Masaki Fujiwaraとの共作、アルバム『CAST』(2018)
嵐
- Crazy ground の王様 ・・・アルバム『How's it going?』(2003)
- Yes? No? ・・・アルバム『One』(2005)
- Ready To Fly ・・・アルバム『ARASHIC』(2006)
- A TO Z ・・・アルバム『from ABC to Z』(2014)
- All My Everything ・・・アルバム『5 Performer-Z』(2017)
- A.B.C-Z with LOVE ・・・『Black Sugar』(2019)カップリング
- 悪魔な恋(2009) ・・・デビューシングル
- NYC(2009)
- 悪い男 ・・・『ヒカリひとつ』(2009)カップリング
- I will ・・・アルバム『J album』(2009)
- 咲いて生きよ ・・・アルバム『PUZZLE』(2009)
<ジャニーズJr.>
- BE CRAZY(2015)
- JAPONICA STYLE(2017) →公式動画
- Night Train(2018)
- 夢のHollywood(2017) →公式動画
- Don't Hold Back(2018)
- 烈火(2017)
関西ジャニーズJr.
- SHINE ON(2017)
- おみくじHAPPY!(2017)
- LET ME GO(2018)
上のリストでお気づきかと思いますが、Hey! Say! JUMPは多いです。特にデビューして間もないころ(勝手に「初期JUMP」と呼びます)。それが、なぜ私がma-sayaさんに関心を持ったのかという話につながるのですが、その初期JUMPにハマっていました。その後、自分の応援環境が整っていなくて離れてしまったのですが、昨年、ジャニーズJr.のSixTONES沼にズドンしました(当時から知っているメンバーばかりで驚きました!)。そして、SixTONESのオリジナル曲のリストを見て、知っている名前を発見したのです。「いやSixTONESって初期JUMP並みのペースでma-sayaさんの曲やるじゃん」と思いました(オリ曲9作中3作。2019年2月時点)。YouTubeでMVが公開されて話題になった「JAPONICA STYLE」もそうです。昔の自分が好きだったものと今の自分が好きなものの思わぬつながりを見つけて嬉しくなって、ma-sayaさんについて調べ始めました。
ma-sayaさんについて
ネットでma-sayaさんを検索して見つけたのが↓の記事でした。
「難病と戦いながらもオリコン1位曲の作詞家に! その軌跡とは?」
https://ddnavi.com/news/210124/a/
読んでいただければわかるのですが、ma-sayaさんは「筋ジストロフィー」という難病を抱えながら作詞活動をされているということです。だいぶ前のニュースなので知っていた方もいるかもしれませんが、私は全然知らなかった話で驚きました*2。
「筋ジストロフィーってどんな病気ですか?」
筋ジストロフィーは、身体の筋肉が壊れやすく、再生されにくいという症状をもつ、たくさんの疾患の総称です。(中略)症状が出始める年齢や、症状の出やすい場所は、疾患によって様々です。筋力の低下によって身体を動かすことが難しくなったり、呼吸・飲み込み・血液循環等に機能障害が出たりします。
(一般社団法人日本筋ジストロフィー協会HP:https://www.jmda.or.jp/what-muscular-dystrophy/)
そして、本を出されているということだったので入手してみました。
この本はma-sayaこと高橋雅也氏の半生を描いたエッセイです。体が弱くて入退院を繰り返していた幼少期の思い出、どう生きていけばいいかわからず家出したり遊びまわったりした青年期の葛藤、26歳で筋ジストロフィーと診断されたこと、父親の会社で働くようになるも肩身の狭い思いをしたこと、会社の経営が苦しくなった時に妻が「本当にやりたいことをやりなよ」と言って配送の仕事を始めて作詞家になる夢を後押ししてくれたこと、本格的に作詞家を目指すもなかなか採用されず焦る日々、そして最初の成功をつかんだ時の喜び・・・などが語られます。作詞家というだけあって文章も読みやすいです。
感想の代表みたいになってしまうのが嫌なのでここではあまり書かないのですが、個人的には「あの曲のあの歌詞はこういうところからきていたんだな」と思った箇所がたくさんありました。あと作詞家の世界ってヤワではないですね。自分の書いた詩が実際に曲になるにはコンペを勝ち抜かなければならないのですが、「百書いて一つ採用されたらいいほう」(p.224)と言われているそうです。相当な熱意と折れない気持ちがないと続けられないです。さらっと書かれた言葉から日常生活もかなり大変なのではと推測しますが、そのなかでも情熱をもって作詞活動を続けているma-sayaさんだからこそ書けるものがあるのではと思いました。
ma-sayaさん曲の歌詞分析
ma-sayaさんの曲は一言でいうと「前向き」なものが多いです。でもただ「前向き」なわけではないです。
明るいけど暗い。暗いけど明るい。
泥臭いけど美しい。粘り強いけど刹那的。
そんな魅力があると感じています。ma-sayaさんは恋愛系の曲も多いですが、ここではそちらではなく「前向き」系の曲を取り上げながら、どんな歌詞からそう思うかをみていきます。
(分析とかカッコいいこと言っていますけどこれは専門家でもなんでもないいちファンが好きな歌詞をまとめたものです。あと取り上げる曲は自分の趣味に偏っていまして、他にもいい曲はたくさんあります!)
1.嵐 「Crazy groundの王様」(2003) 作詞:ma-saya、Rap詞:櫻井翔
最初からすみませんが、私自身がこの曲について詳しく知らないのでここに歌詞は掲載しません。ただ、明言はしていないのですが、著作から推察するにma-sayaさんが初めて作詞家として採用された曲がこれだったようなので、紹介だけさせていただきます。現状を打破したくて悶々としている若者が歌うような曲です。この曲が収録されたのは嵐がブレイクする前でした。彼らにも苦労した時代があったんだということを思い出させてくれます。
(そしてこれはスト担としてのざれ言なのですが、この曲はSixTONESの初のオリ曲の一つ「BE CRAZY」にかぶります。偶然ですか⁉)
公式HP: https://www.j-storm.co.jp/arashi/discography/hows-it-going
2.KAT-TUN 「SIGNAL」(2006) 作詞:ma-saya、Rap詞:JOKER
バリワイルドでカッコいい「Real Face」でミリオンセラーをたたき出してデビューしたKAT-TUNの2作目のシングルです。前作と変わってさわやかな曲調で、落ち込んでいる友人を励ますような歌詞です。
Take it easy now
What's goin'on 切り替えて
What's goin'on 乗り越えて
I'm movin'on いつもそうしてんじゃない
Take it easy now
What's goin'on チカチカと
Just movin'on 消えそうな
情熱は それぞれの胸に
「切り替えて」「乗り越えて」と前向きな歌詞が続くのですが、「チカチカと」の後に「消えそうな」というマイナスイメージの言葉が初めて出てきたところでドキっとします。情熱は消えそうだと。ここで情熱を燃え盛らせようみたいなことを言われたら、落ち込んでいる人はついていけなくなってしまいます。情熱は消えそうなのだけど大切に胸に持ち続けようと言われたら、まだがんばれそうな気がします。「切り替えて」や「チカチカと」は、タイトルの「SIGNAL」(信号)にかかっていそうなので、曲のキーワードではないかと思います。
公式HP: https://www.j-storm.co.jp/kat-tun/discography/signal
3.Hey! Say! JUMP 「Your Seed」(2008) 作詞:ma-saya
3作目シングル。映画『カンフー・パンダ』日本語吹き替え版主題歌というのもあって、メロディーはアジアンテイスト(中国風?)でかっこいい感じです。とても個人的なことをいうと初期JUMPの中で一番好きな曲です。
サビはどストレートに前向きで強い歌詞です。
あきらめない 君がいれば
どんなときも チャンスはある
ただ、一番好きな箇所でいうとこんなところです。
人生なんていえば胸に重く響くけど
好きなもの好きといえる勇気だけは
手放したらダメだよ
まあ本当に好きなことに人生を賭けろと言われたら、現実としてものすごく勇気がいることもあるじゃないですか。特に自分の決断がほかの人にも影響を及ぼしそうな場合。それでも「好きなもの好きといえる勇気」は、自分が割り切ったら持てるものです。それを持てればいいのだったら、いまここからでも自分の理想とする方向へ進めそうな気がしてきます。「人生なんていえば胸に重く響くけど」という一言が、不安な気持ちを受け止めて、挑戦する勇気に変えてくれています。
永遠なんていうと 急に遠く見えるけど
幸せは何かを追う道があれば
感じられるものだよ
前の引用部分と対になっている歌詞ですが、こちらも好きです。解釈はいろいろあるでしょうが、ずっと幸せでいるのは難しいけど、何かを追求していれば(うまくいくにせよいかないにせよ)その過程で幸せは感じられるよ、という意味にとっています。あきらめずに目標を追い続けようという気持ちにさせてくれます。
公式HP: https://www.j-storm.co.jp/heysayjump/discography/your-seed冒険ライダー
4.SixTONES 「JAPONICA STYLE」(2017) 作詞:ma-saya
2017年に舞台『少年たち 〜Born Tomorrow〜』で初披露され、2018年に滝沢秀明さんプロデュースでMVがYouTubeに公開されたことで話題になりました。いままであげた曲はどちらかというと<明るいけど→暗い><強いけど→弱い>という方向だったのが、<暗いけど→明るい><弱いけど→強い>という向きにみえる曲です。
愛が足りないのに そっと微笑んで
Japonica style 華麗に舞う花
何が起こるかは わからないなんてさ
夢 恋 桜 Japonica style
「愛が足りない」、大事にされていないのに文句も言わず耐え忍んでいる・・・「夢 恋 桜」といった言葉でか弱くはかないものが連想されます。
I never ever ever ever hurry up
I never ever ever ever give up
やってみようか?どうしようか?
Never ever ever carry on for me
”決して急がない”、”決してあきらめない”とありますが、”あきらめない”はともかく”急がない”が強調されているのが不思議な歌詞です。あきらめずにゆっくりとでも進み続けるという強い意志の表れなのか、それとも急げない事情でもあるのか・・・。「carry on for me」が難しいのですが、”私のことで騒がないで”、”私のことを心配しないで”という意味ではないかと思いました(英語詳しくないので違ったらすみません)。
運命感じるかも 人生変えるかも
夢 恋 桜 旅に出よう
すみません、いま一番語りたかった歌詞なので引用が逐語的になってきちゃいます。「人生変えるかも」「旅に出よう」から、何かを始めようとしているようですが、ふわっとしています。旅といっても目的地は決まっていないよう。前の引用箇所の「やってみようか?どうしようか?」にも迷いがあらわれています。
諸行無常でも 果敢に挑んで
Japonica style 独自の世界
描ける夢は きっと叶うのさ
夢 恋 桜 Japonica style
2番の歌詞はもう少し明るさがあります。「諸行無常でも 果敢に挑んで」は、うまくいくかわからないし、成功してもそれが続くとは限らないけど挑戦してみるということかなと。「描ける夢は きっと叶うのさ」の後に(上の引用に入っていませんが)「自分信じるなら 未来変わるかも」と前向きな言葉が続きますが、「きっと」や「かも」という部分にまだ不安があることを感じます。でも、不安を抱きながらも明るい気持ちに持っていこうとしているのがわかります。
サビには「駆け抜けてゆく どこまでも」「追いかけて行く いつまでも」という歌詞があり、諸行無常で、はかなくて、移り変わるなかでも、俺たちはやっていくんだという強い意志を感じます。<暗いけど→明るい><弱いけど→強い>という歌詞だと思うのはこんなところになります。
5.Travis Japan「夢のHollywood」(2017) 作詞:ma-saya
Travis Japanの初オリジナル曲の作詞もma-sayaさん作詞です。
これは本当に本当に本当に申し訳ありませんが、この曲も取り上げようと思ったのですが、私の気力が尽きてやりきれませんでした・・・こちらもせっかくジャニーズJr.チャンネルの動画があるのでぜひ見てください! トラジャらしくショーダンスをテーマにしながらドリーミーな感じのいい曲です。
まとめ
以上、ma- sayaさんの曲の魅力を語らせていただきました。 ここまで読んでいただいた方にはわかると思いますが、ma-sayaさんが歌詞をつけるのは「若いグループ」、デビューして間もなかったり、あるいはジャニーズJr.だったりのグループが多いです(キスマイとかは異例な感じですね)。不安感や閉塞感、挫折感をところどころに感じさせ、いやそれでもやっていくんだという強い気持ちを押し出していくma-sayaさんの歌詞は、成功に向かって努力している若いジャニーズグループが歌うとすごくよくハマります。Jr.担としては、自担がma-sayaさんの曲を歌っているのをみてちょっと切ない気持ちになることもありますが、いやでもファンはできることをやって応援していくしかないんだということを思い出させてくれるのもma-sayaさんの曲です。
担当がどうこうということを超えて、ファンにも人生いろいろありますよね。ma-sayaさんの曲で前向きな気持ちになれることはたくさんあります。
以上になりますが、これはいちファンが勝手にあれこれ考えて書いたもので、歌詞の解釈は人それぞれだし正解はないと思います。こういう見方もあるんだということで、曲について考えるときの参考情報になればうれしいです!
最後の最後に、SixTONES担としてBE CRAZYとNight Trainをみれる/きける機会を切に待ち望んでおります!!